いちいち本レビュー

たんたんと本の感想を書いていくブログ。書評よりもっと軽いメモみたいなもの。

【みっともない子じゃない】「からたちの花」/吉屋信子

 

からたちの花 (吉屋信子少女小説集1)

からたちの花 (吉屋信子少女小説集1)

 

 ★★★★☆

 

吉屋信子少女小説集」を全5巻が出版されるそうです。

これは嬉しい!読んだことない作品がいいです。

さっそく、「吉屋信子少女小説集」の1巻「からたちの花」を読みました。

 

吉屋信子といえば、少女たちの友愛、つまり”エス”とイコールで結んでしまうのですが、「からたちの花」は一人の少女の成長物語。

主人公の麻子はお金持ちのお嬢様であるけれど、姉や妹のような美貌がありません。

そのために、実の母親からあまり大事にされない女の子。

周りの大人たちも美しい姉と妹をちやほやする中、おばだけは麻子に特別目をかけてくれる大切な存在。

しかし、おばが結婚してアメリカに行き、麻子は徐々にいじけた子になっていってしまう…。

 

容貌が美しい姉妹や友人たちに劣ることにより、凄まじく酷い目に合うわけではないけれど、幼少期から少女に成長するに連れて、自分の容貌を気にする痛みは増していく。戦前のこの物語が書かれた時代だけではなく、現在の平成生まれの少女たちにも通じる悩み。

いつの時代でも少女の悩みというは、時代や物が変わって同じものなんだなと改めて感じる。

 

生まれつきに美しさはなくても、美しく生きることは出来る。

美しく生きることは、容貌も美しく見せることが出来る。

吉屋信子さんは最初に「みっともない子」という題にしようとしていたけれど、それではあまりにリアルすぎるということで「からたちの花」になった。

私は「からたちの花」の方がずっといいと思う。

本書を読めば、麻子は決してみっともない子ではないのが分かるのだけど、「みっともない子」だと、実際に読む少女には辛いものがあるんじゃないかな。

 

小学生の時の私に送りたい本になりました。

どうか、時間を歪めて私の勉強机の引き出しにそっと忍ばせたい。