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いちいち本レビュー

たんたんと本の感想を書いていくブログ。書評よりもっと軽いメモみたいなもの。

「愛の渇き」/三島由紀夫

愛の渇き (新潮文庫)
by カエレバ

★★★★★

※ネタバレ

隅から隅まで美しい文章の何度もひと呼吸しながら、うっとり堪能しながら読んだ。

内容も面白いのだけど、どうしてこんな表現が出来るのだろう、今まで読んだどのような作家より美しい。

悦子の心の丁寧な描写は、悦子に取り憑かれたようにのめり込んでしまう。

ラストに向かうに連れて、悦子に入り込んでしまったので苦しくて苦しくて、祈るような気持ちでページを急いだ。

ここでは美しい文章にうっとりしてる場合ではなくて、次は次は、次はどうなるのと先を急いでしまう。

何とも言えない、悲劇な喜劇なのか?

読み終えた後はただ呆然としてしまった。

目の微かな動きでさえ正確に読み取り深く考える悦子、何も考えない三郎。

二人の対比。

考えすぎて自ら破滅に突っ走ってしまうパターンは今の時代でも、私でもあること。

何も考えてない人のことをあれこれ思いめぐらすことの無意味さよ。

悦子は何を愛していたのだろうか?

そもそも愛があったのかさえ分からない。

悦子は悦子自身を見ていたのか?

杉本悦子は、女性問題で彼女を悩ませつづけた夫が急逝すると、舅弥吉の別荘兼農園に身を寄せ、間もなく彼と肉体関係に陥った。

彼女は夜ごと弥吉の骸骨のような手の愛撫を受けながら、一方では、園丁三郎の若若しい肉体と素朴な心に惹かれていく。

だが、三郎には女中の美代という恋人がいることを知った時、悦子は……。

愛の渇き (新潮文庫)
by カエレバ

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