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いちいち本レビュー

たんたんと本の感想を書いていくブログ。書評よりもっと軽いメモみたいなもの。

「美徳のよろめき」/三島由紀夫

美徳のよろめき (新潮文庫)
by カエレバ

★★★★★

何という美しい文章でしょう!

文章の美しさに最後まで酔いながら読みました。

主人公の節子には共感出来ないのに、節子の心情がありありと伝わってくる不思議。

三島由紀夫は男性でありながら、女性特有の微妙で見過ごしてしまう心の動きを、美しい文章で表現されていて驚いた。

以下、好きな箇所の引用。

節子の好みはまったく官能的なものであった。

男はただ荒々しくない美しい顔と、しなやかな体躯を持っていればよかった。そして何より若さと。

男の野心や、仕事の情熱や、精神的知的優越や、そういうものには節子は何らの関係がなかった。

あふれるばかりの精力を事業や理想の実現に向けている肥った醜い男など何という滑稽な代物であろう。

みすぼらしい風采の世界的学者など何という珍物であろう。

仕事に熱中している男は美しく見えるとよく云われるが、もともと美しくもない男が仕事に熱中したって何になるだろう。

女の目から見た世界を厳格に信じている節子は、そこらのありふれた知的な女のように、男の側の判断で迷わされたりすることが決してなかった。

彼女は野性を尊敬していなかった。

男を魅力あらしめるには、金のかかるお洒落と、一定の育ちから生ずる一定の言葉遣いが必要だと思っていたのである。

美徳はあれほど人を孤独にするのに、不道徳は人を同胞(きょうだい)のように仲良くさせると。

自尊心を傷つけられぬ用心をして、私のこの「別れの辛さ」はみんな芝居なのだ、と誇張して考えた。

しかも芝居のほうが自然な感情よりもはるかに楽だった!この別れの辛さを演じることは、いかにも楽だった。

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