いちいち本レビュー

たんたんと本の感想を書いていくブログ。書評よりもっと軽いメモみたいなもの。

「ヴェニスに死す」/トオマス・マン・作/実吉捷郎・訳

ヴェニスに死す (岩波文庫)

トオマス マン 岩波書店 2000-05-16
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by ヨメレバ

★★★★☆

美少年好きには知らない人はいないであろう、世紀の美少年・ビョルン・アンドレセン出演の「ヴェニスに死す」。

もちろん、私も見ております。

ビョルンの美しさは、それはそれは素晴らしく、音楽と映像の美しさも素晴らしかったです。

ビョルンを堪能したいだけなら映画で十分なんですが、原作ではどのように描かれているのか、とても気になったのでいつか読みたいと思い、やっと重い腰を上げて手に取りました。

あらすじは簡単なんですよ。

1分もあれば語れるレベルです。

というか…岩波文庫表紙で既に全てネタバレされてるので…。

※以下、完全ネタバレ!!

話の内容は簡単、名のある初老の作家・アッシェンバッハは、旅先のヴェニスで美少年・タッジオに出会う。

タッジオの美しさに心奪われたアッシェンバッハは、疫病が蔓延しているのにヴェニスを離れられず、散々、タッジオを追いかけまわした挙句、一言も言葉を交わすことなく、疫病にかかり死んでしまう。

ほら、1分もかからないでしょ。

映画ファンで、小説を読むことに抵抗がないのなら、一読することを勧めたい。

読みながら常に、ビョルン・アンドレセンのタッジオが浮かび、なぞっていくように一気に読みました。

原作を読んで知ったこと。

アッシェンバッハは、娘はいるが息子はいない。

もしも、息子がいたらタッジオの美に魅せられることはなかったのだろうか。

また、

一度も青春ののんきな怠慢をしらなかった。

という記述もある。

この辺も、タッジオに魅せられた理由が隠れてる気がするが。。。

初めてタッジオを見た時の描写。

アッシェンバッハは、その少年が完全に美しいのに気づいた。

蒼白で、上品に表情のとざされた顔、密いろの捲毛にとりまかれた顔、まっすぐにとおった鼻とかわいい口をもった顔、やさしい神々しいまじめさを浮かべている顔――

彼の顔は、最も高貴な時代にできたギリシャの彫刻を思わせた。

そしてそれは形態がきわめて純粋に完成していながら、同時に比類なく個性的な魅力をもっているので、見つめているアッシェンバッハは、自然のなかにも、造形美術のなかにも、このくらいよくできたものを見かけたことはない、と思ったほどであった。

美しい描写でございます。

この役が出来るのは、後にも先にもビョルン・アンドレセンしかいないのかもしれない。。。

自分を狂わせた美を目の前に死にゆくというのは、アッシェンバッハにとって、この上なく幸せではなかろうか?

「我が人生悔いなし」(by ラオウ)ではなかろうか。

私の理想の死に方です。

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