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いちいち本レビュー

たんたんと本の感想を書いていくブログ。書評よりもっと軽いメモみたいなもの。

「ゴールドラッシュ」/柳美里

ゴールドラッシュ (新潮文庫)

柳 美里 新潮社 2001-04
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by ヨメレバ

私が高校生の頃に図書館にあって、何度が手に取って少し読んでみたが、輪姦の描写への嫌悪感が酷くてやめてしまった。

あれから10年以上が経って、やっと読むことが出来た。

当時、世間を震撼させた酒鬼薔薇事件」を思わせる14歳の少年が主人公。

登校拒否をし、ドラッグに浸り、大人を見下し、自分を特別だと思っているいけすかない少年である。

彼を取り巻く家族というのが、柳美里がお得意の崩壊した家族

父はパチンコ店の経営者で金に物を言わせて好き放題やっているとんでもない男。

知的障害(ウィリアムズ病)を持つ兄。

援助交際に溺れる姉。

別居中の母。

えげつない臭いの描写が凄まじかった。臭いや不潔さが生々しく、思わず嗚咽がしそうになるのを堪えなければならない。

この人の書く臭いの描写は、むんっとする臭いが想像出来て気持ち悪くもあるが、そう思わせられるというのは表現が上手いとも言える。

400ページ近くある長編。

少年の心を知ろう知ろうとして読み進め、中盤からは展開が気になり、更に読み進めた。

量のわりには一気に読める。

少年の気持ちは、思春期をとうに通り越した今となっては共感も出来ない。

伝わってくるのは、誰かに必要とされたい、愛されたい、心配されたい、大切にされたい、誰も僕を分かってくれない…という類のこと。

読んだ時の年代によって、少年に対する気持ちが大きく変わってくる。

もしも、本書を初めて手に取った高校生の時に読めば、少年に共感した可能性は大いにある。

自分が死んだら誰か哀しんでくれるだろうか。

でも、死んでから哀しまれても意味はない、眠れないでいる今の自分を哀しんでくれる人が必要なのだ。

大人たちのいやらしさだけが、殺意を覚えるほど不快だった。

ここに書くのが嫌になるくらい嫌悪感しかない。

少年の心に共感出来なくなったぶん、大人たちのいやらしさは今の方が分かるのかもしれない。

ラストは納得いかない!すっきりしない!

あんな終わ方で逃げるなんてずるい!

生きることはゲームだと思っていた少年が、信じるという心を取り戻すまでを描く感動的長編。

だなんて、嘘つき!!

何だか、作者もラストを敢えてああしたのではなく、考えるの嫌になって放棄したように思える…。

金のことを考えなくていいくらいの金が欲しい、か…。

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★★★★★

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