いちいち本レビュー

たんたんと本の感想を書いていくブログ。書評よりもっと軽いメモみたいなもの。

「女生徒」/太宰治

女生徒 (角川文庫)

太宰 治 角川グループパブリッシング 2009-05-23

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by ヨメレバ

高校生の時に購入して、その時は挫折したんです。

読もうとするのだけど、内容がよく理解することが出来なかった。

夜に布団の中で意味もなく気に入った部分ばかりを、暗記するように繰り返し読んでました。

当時の私はこの本の中に自分を見出そうとしていたのだと思います。

何かに救われたかったから、縋るように繰り返し同じところばかりを繰り返し…。

14編の短編の主人公は全てが女性。

物語は女性の独白形式で綴られているのも大きな特徴。

高校生の時に挫折したと書きましたが、今は何の難しいところもなくすらすら読み進められました。

あの頃から学力的には変わらない…否、むしろ低下しているはずなのに、何でなんだろう。。。

出てくる男性が太宰に思える人が多く、また主人公である女性も太宰のように思える。

所詮、恵まれた人間が抱える自己嫌悪で溢れている、と言われればそれまでである。

悩まなくていいところで深く悩む、傷つかなくていいろころで深く傷つく。

恵まれていても、生きることに向いてない人間はいる。

楽しんで読めたけれど、憂鬱にもなった。

各作品についてのコメントは追記からお願いします。

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※以下、ネタばれあり

「燈篭」

高校生の時、繰り返し言葉をなぞっていたので、今でも生々しくその時のことが蘇った。

もう、どこへも行きたくなくなりました。

すぐちかくのお湯屋に行くのにも、きっと日暮れをえらんでまいります。

誰にも顔を見られたくないのです。

相手も眼帯をしている、自分も眼帯をしている。

そのことが、更に相手を素敵に映したというのが、とてもロマンチックに思えてね。。。

好きな人のために盗みをした。

愚かな女だと嘲笑することが出来ないところが苦しかった…。

「女生徒」

これは…現代の若手の女性作家なんかが書いていたら、毛嫌いするタイプの話です。

主人公が自意識過剰で、赤毛のアンタイプでもある。

しかしまあ、女学生のふわふわしたり、めそめそ泣いたりする気持ちをこんなに的確に表現出来るという凄み!

清く正しく生きたいのに、大人になってゆく(汚れてゆく)自分に耐えられない。

いまに大人になってしまえば、私たちの苦しさ侘しさは、可笑しなものだった、となんでもなく追憶できるようになるかも知れないのだけれど、けれども、その大人になりきるまでの、この長い厭な期間を、どうして暮していったらいいのだろう。

(略)

当人にしてみれば、苦しくて苦しくて、それでも、やっとそこまで堪えて、何か世の中から聞こう聞こうと懸命に耳をすましていても、やっぱり、何かあたりさわりのない教訓を繰り返して、まあ、まあと、なだめるばかりで、私たち、いつまでも恥ずかしいスッポカシをくっているのだ。

この部分、高校生の私になって想像すると、共感しすぎて苦しいやら、嬉しいやら。

「葉桜と魔笛

悲しくて美しいお話。

日本人は絶対にこの手の話に弱いと思う。

若くして病に冒され、もう数カ月の命の妹を思う姉の姿。

妹へ送られてきた恋文の筆跡を真似て、姉が恋文を書くのである。

泣かせる話である。。。

「皮膚と心」

これに出てくる旦那さんがすっごく好きです。

不器用で純朴で優しい職人気質の男、惹かれます!!

器量が悪いことにコンプレックスを抱いている主人公に、

「いい顔だと思うよ。おれは、好きだ。」

と言ってくださるのです。

皮膚に醜い吹き出物が出来ても、目を逸らさずきちんと見て、自ら薬を買って塗ってくれて、病院にも連れていってくれる。

この短編集の中で一番幸せな主人公ではないだろうか。

「ふざけちゃいけねえ。職人仕事じゃねえか、よ。」と、しんから恥ずかしそうに眼をパチパチさせて、それから、フンと力なく笑って、悲しそうな顔をなさいました。

「きりぎりす」

貧乏な暮らしでも楽しかったし、夫を愛していた。

いつまでも売れない絵を描いて、世間から疎まれても、愛していた、幸せだった。

普通は夫が成功して、富と名声を手に入れて、自分の生活も良くなって幸せに感じるはずなのに、彼女は逆なのだ。

こういう種類の不幸もある…。

三百円だけ残して、そうして得意顔でお帰りになるあなたのお気持が、私には淋しくてなりません。

すっげぇ小さい男…そりゃ嫌気もさすわ。。。

「千代女」

幼い頃に持て囃されたことが、後の人生に影響を及ぼす。

これもまた一つの不幸か。。。

「恥」

これは、すっごく面白くて大好きです。

少し胸が痛む部分もありますが、小気味いいです。

「これはファン・レタアではございませぬ。奥様なぞにお見せして、おれにも女のファンが出来たなんて下品にふざけ合うのは、やめていただきます。私はプライドを持ってます。」

「待つ」

誰かも分からない誰かを待っているんです。

少女とは、女とは、そういうものなのです。

「饗応夫人」

究極のお人よしの夫人と厚かましい輩のやり取りが辛くなる。

こんな生き方は絶対にしたくない。

不幸体質というのか。。。

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